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時は流れ季節は巡る。
クラブフィールドの山々も雪を減らし、春そして夏の山へと移り変わる
冬山という季節限定の場所で過ごす人々にとって、春は別れの季節でもある。
日本のスキー場で働いていた頃、シーズン終わりにさしかかると、仲間が1人去り、2人去っていった。
そして皆、自分のいる場所に帰っていき、次の雪が降る頃に戻ってくるのだ
冬山の道具ともしばしのお別れである。
ザック、雪崩ビーコン、ゾンデ棒、スコップ、グローブ、ブーツ、ハーネス、応急処置キット、その他もろもろを天気の良い日に虫干しする。
雪崩用の道具は今年も使わなくてすんだ。
娘が山で雪だるまを作る時にスコップを使ったぐらいだ。それぐらいがよろしい。
こういった道具は持っていて、使い方を知っていて、それでいて使わないというのが理想だ。
使わないだろうから持ち歩かないというのはダメだ。
「たまたま今日に限って持っていなかった」
そういう時に事は起こる。
道具をしまいながらボクは話しかける。
「今シーズンもごくろうさん。また来年もたのむよ。しばらく眠っていてくれ」
こうして道具達はラスタカラーのスキーボックスの中で夏を越す。

今シーズン半ばクライストチャーチで大地震があった。
地震当日、クラブフィールドは晴天パウダーというシーズン中ベストの日だったという。
地震の後、地震の専門家が講師となり話す集いがあった。
専門家は地震とは常に起こりうる物であり、それに対する人間の心構えが必要なのだ、というようなことをしゃべった。
心構えとは、それに対する知識を得ることであり、その準備、対策という行動をとることである。
だがそこに来る人が専門家に求めるものは「大丈夫ですよ」という一言だった。
なので彼に対する質問も「この先、大丈夫でしょうか?」というようなものだった。
専門家は専門家らしく簡単にはその一言を言わない。
「分からない」というのが彼の答であった。
そりゃそうだ。そんなのバックカントリーで目隠しをして「この斜面は雪崩れませんか?」と聞くようなものだ。
地面の中は見えないのでいろいろな機械を使って調査をするらしいが、それだって限界はある。
今回の地震は今まで知られていなかった所に断層があり、それが原因だという。
結果、「調べてみないと分からない」となる。実に専門家らしい答だ。
だがそこに集う人はそれで収まらない。地震という恐怖に脅えているからだ。
人間は自然の中では無力である。
これを徹底的に再確認する必要があるが、文明の中に住んでいるとそういったことも忘れてしまう。
専門家の話が終わった後、声をかけた。
「僕はスキーガイドをやっていまして専門は雪崩の方なんですが・・・。」
これだけで通ずる何かがあった。
雪崩と地震。種類は違えど地球上で起こる現象に変わりなし。
どちらも人のいない場所で起これば自然現象だし、人が巻き込まれれば災害となる。
地震、火山、津波、嵐、土砂崩れ、鉄砲水、雪崩。
どれも怖い物だが自分が安全なところでこれらを見れば壮大な見物だろう。
自然の営みは美しく、それでいて恐ろしい。

毎回、山から下りて雪崩ビーコンを外す時に思う。
「今日も死なないで山から下れた」
クラブフィールドはスキー場であり、スキー場から帰って来るのに大袈裟な、と思うかもしれない。
だが忘れてはいけない。スキー場とは冬山なのだ。遊園地ではない。
生きて帰ってくるのは当たり前だが、その当たり前に甘えてはいけない。
また当たり前の中に喜びがあり感謝がある。
山は人が死ぬ所だ。
死というものを真っ直ぐに見つめそれを過度に恐れない。
その先に生がある。
僕らは生かされている。
何か大いなる力によって。
その生きる喜びを感じ取れる場所が山でもある。

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